CONCEPT

多くの学問の中で,「生物」は最も多種多様な分野とつながっています。生態系のテーマは地球環境につながり,食料や健康などを通じて人間の生活に及びます。細胞や代謝,免疫,遺伝のテーマは人間の営みや生命そのものに関わります。微生物や植物,海洋生物などから発見された薬が多くの人の生命を救ってきました。2015年ノーベル生理学・医学賞を受賞された大村智・北里大学特別栄誉教授の成果も,土壌に住むある微生物から得られた物質が,寄生虫病に効果のある創薬につながったものです。しかし,全ゲノムの解析には分析装置やコンピュータ,情報処理,新素材などさらに多くの技術・産業が関わっています。生物(いきもの)を中心とした総合的な考え方が,生命(いのち)の大切さを育み,今後の人類や地球,そして自然を守ることにつながっているように思います。「生物」の教科書の知識に留まらず,実験や観察などの体験を通じて実社会のヒントを得てほしいという思いを込めて,新しい『生物の科学 遺伝』をお届けします。教育現場に近い先生方にも編集委員として加わっていただきました。いろいろな話題をご提供できればと思っております。ご期待ください。(2016年1月号 編集後記より)

CONTENTS

本誌は以下のような内容で構成します。コラムは号により変わることがあります。

 

■特集
 特集は,高校生物の教科書「生物基礎」「高校生物」の流れに沿うようなテーマを選び,今,授業で習った内容は,実は世界の大きな動きにつながっていることや,将来の自分のライフワークや家族の健康などにもつながっていることなどを,原稿の中で表現していただくことに留意することにしました。

 

■コラム
・実験・観察の勘どころ
 リレー形式で実績ある生物実験を紹介するコラムです。高校の生物の授業では,座学で教える内容が近年急激に増え,また進学を第一位に考える機運の中では実験に時間を割くことが難しいと言われています。しかし,生命の不思議を自分の目で見,手で触った体験は掛け替えがなく,医学も含めて将来の実学に生きるものです。本コラムでは,短時間に失敗なく実験を進められ,しかも教育効果の高いことが長年の採用で実績のある実験テーマを連載します。
・「ハイエンド研究・分析装置への招待状」
 専門分野では,最先端の研究・分析装置が使われています。生命の真の姿に迫るために,どのようにこれらの装置が生まれたのか,何ができるのか,どのように使えば目的にかなうのか,実例をあげながら紹介します。2016年は,「3Dプリンター」「電子顕微鏡」の連載を予定しています。
・大学入試「生物」を攻略する
 『生物の科学 遺伝』大学入試問題対策チームが,新傾向の生物入試試験を解説したり,勉強の勘どころを分析してお伝えするコラムです。学習のポイントをつかみつつ,関心を周辺まで広げて,将来の応用力にもつながる対策記事をお届けします。
・For your Lifework─「生物」「生命」を研究・育成する施設から読者の皆さんへのメッセージ
 全国の研究機関,育成機関,動物園/水族館などから原稿を寄せていただき,将来の自分の職場につながるような情報提供をお願いしています。
・国内TOPICS/海外TOPICS
 国内外で直近でニュースになった研究成果を中心としたニュースアーカイブとしてまとめてお送りします。
・裏山の昆虫誌
・新刊一覧

・Information

RECOMMENDED

■お読みいただきたい方
・生物学,遺伝学,バイオテクノロジー(生命工学),環境学,海洋学,動植物学,農水産学,気象学などの研究者
・製造業,環境工学,化学,食品工学,医学・薬学,看護・介護などの従事者
・動・植物園,博物館,展示館などの学芸員
・「高校生物」「大学生物」を教える教員
・生物,生命に関わる仕事を目指そうとしている高校生,大学生,専門学校生