新型コロナウイルス寄稿論文(『生物の科学 遺伝』Special)

■緊急企画の主旨について

   五條堀 孝(『生物の科学 遺伝』編集委員)       2020年4月8日

 

  2020年4月8日の午前零時から、新型コロナウイルス感染(COVID-19)対策に関する非常事態宣言の効力が日本の7都市に適用されることが始まりました。

 中国・武漢市で2019年末から今年2020年にかけて勃発したこの感染症は、3ヶ月もしないうちにアジア・欧州・北米・豪州に広がり、そして中東ならびにアフリカへと広がりを見せていますが、日本も今が踏ん張りどころと言われながらも、このパンデミックによる大都市での感染爆発が大変心配されています。

 一方、この原因ウイルスがいち早く特定され、本日までにその遺伝情報と言われるゲノム配列は,世界中で3,000を超える単離株で解読され、さらに続々と蓄積されて来ています。このゲノム情報は、分からない感染源やルートの特定や特効薬やワクチンのデザイン開発などに大いに役立っています。さらに、次々と出現する突然変異をモニターして追跡していくことも可能になっています。また、住人の全員の感染検査は不可能であっても、その都市や地域の下水道からウイルス量を測定して、その都市全体の感染の度合いを推定して感染ピークの予測を行ったりすることも可能となって来ています。

 このように、新型ウイルスのゲノムや遺伝子に関する最新情報やもっと広く関連する様々な情報を、即時に読者の皆様にお伝えしたいと思っています。是非、皆様のお役に少しでも立てれば幸いです。

(本誌注)本企画は,複数の専門家の方に寄稿依頼をしております。寄稿原稿が届きしだい,順次情報提供してまいります。また,既存論文につきましても,状況の変化に伴う加筆・改訂を都度おこなってまいります。

 

五條堀  

Takashi Gojobori

公益財団法人 遺伝学普及会  共同代表理事/アブドラ国王科学技術大学(ディスティングイッシュト・プロフェッサー)(サウジアラビア),情報・システム研究機構国立遺伝学研究所名誉教授,早稲田大学招聘研究教授、北里大学客員教授、日本大学客員教授、福島県立医科大学特任教授、静岡県海洋オープンイノベーション研究所所長。理学博士。九州大学理学部生物学科卒業。テキサス医学生物学大学ヒューストン校にて上級研究員,助教授として勤務。1983年,国立遺伝学研究所に入所。助教授等を経て,1990年に教授。1995年,同研究所生命情報・DDBJ研究センター長。2007年,同研究所副所長。201310月より,東京大学特任教授。2013年より現職。専門は分子進化学,比較ゲノム学,生命情報学。ウイルスや細菌の進化学研究とともに,ゲノムや遺伝子発現の大規模解析から脳・神経系の進化について精力的に研究している。紫綬褒章(2009年)受章。著書に,人間は生命を創れるか(丸善,1995)などがある。

 

 

緊急企画 寄稿論文(Special)

新型コロナウイルスの起源と進化

(鈴木 善幸 名古屋市立大学大学院理学研究科)

 

豚で起きていたコロナウイルスに近縁なウイルスでのパンデミック感染の紹介

(花田 耕介 九州工業大学大学院情報工学研究院准教授)

 

 

関連専門書籍(エヌ・ティー・エス)

『生物の科学 遺伝』関連特集・論文

■ 2015年7月号

特集:環境ウイルス―生物の進化と生態のカギを握る微小生命体

特集にあたって~知られざるウイルスの世界をあばく

武村 政春(東京理科大学)/緒方 博之(京都大学)

【Part1】水環境に生息するウイルス

水環境のウイルス─シーケンシング技術の発達により生態系での働きが明らかに

真砂 佳史(国連大学)/稲葉 愛美・風間 しのぶ(東北大学)

地球最大のウイルス貯留池:海洋─遺伝資源としての海洋ウイルス利用を目指して

浦山 俊一・吉田 光宏・吉田(高島) ゆかり(海洋研究開発機構)

【Part2】生物とウイルスの相互作用

環境におけるシアノバクテリアとウイルスのせめぎ合い─シアノバクテリアとウイルスの共進化

吉田 天士(京都大学)

珪藻ウイルスの生態学─ガラスの鎧を持つ生物に感染するウイルス

外丸 裕司(水産総合研究センター)/木村 圭(佐賀大学)

昆虫ポックスウイルス─昆虫への適応戦略をのぞく

仲井 まどか(東京農工大学)/高務 淳(森林総合研究所)

細胞内共生クロレラに感染するウイルス─巨大ウイルスのパイオニア

山田 隆(広島大学)

【Part3】環境ウイルスと進化

DNAポリメラーゼから紐解く真核生物の進化と核細胞質性大型DNAウイルスの関係

武村 政春(東京理科大学)

野生動物─ウイルス共進化─宿主との遥かなる旅路の果て

新井 智(国立感染症研究所)

海洋巨大ウイルス─ゲノムから見えてきた多様性と生態

緒方 博之・五斗 進・三原 知子(京都大学)

古細菌ゲノム進化とウイルス─生命の起源といわれる熱水環境における共進化過程の解明に期待

大福 高史・弓矢 真穂・左子 芳彦(京都大学)

 

■2016年 11月号

特集II 免疫研究最前線

特集II-総論

今日の免疫学:基本的な仕組みから新しい考え方まで

河本 宏(京都大学再生医科学研究所)

制御性T細胞の基礎と臨床─ 異常,過剰な免疫反応にブレーキをかけ免疫恒常性を維持するT細胞

三上 統久/坂口 志文(大阪大学免疫学フロンティア研究センター)

腸内細菌と免疫系─ 複雑に絡み合い現代病をも制御するミクロな生態系

大野 博司(理化学研究所)

新しいリンパ球:自然リンパ球の役割─ 2型自然リンパ球によるアレルギー発症機構

茂呂 和世(理化学研究所)

自然炎症─ 炎症に関する新たな概念

改正 恒康(和歌山県立医科大学)

 

■2015年11月号

生命科学を目指す諸君へ[第5回]免疫研究が今熱い!

吉村  昭彦 慶應義塾大学  医学部  教授

 

■2019年1月号

特別寄稿 2018年度ノーベル生理学・医学賞解説

免疫チェックポイント阻害剤の作用機序と開発過程

河本 宏  京都大学  ウイルス・再生医科学研究所  再生免疫学分野  教授